寒暖差が激しいなか何を着ればいい?意外なインナーで驚きの快適さに

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寒暖差が激しいなか、何を着ればいい?

1日あるいは短期間で目まぐるしく変わる天気と気温
写真はイメージです(以下同じ)

気候変動の影響でしょう。夏のように暑い時期と、冬のように寒い時期が長くなって、過ごしやすい陽気の春と秋が短くなっただけではなく、気温の変化が1日、あるいは短期間で目まぐるしく変わるようになりました。  例えば2023年の12月の神奈川県。もう真冬だというのに最高気温が17度の日があるかと思えば、次の日はいきなり最高気温が10度近くも下がった日もあったりして、激しい乱高下ぶりです。年齢が上がるとともに、こちらの体温調節能力もだんだんと落ちてくるというのに、天気の激しさは増すばかり。  そんな中、いつものように、10月終わりごろからオフホワイトのコットンの長袖Tシャツをインナーとして着始めて、セーターやカーディガンのインナーとして着たり、その上にジャケットやコートを羽織って外出したりしていました。

白い長袖Tシャツを着ている女性

長袖Tシャツに上着を羽織れば、なんとかなると言えばなるけれど…

 これはこれで別に悪くはないし、なんとかなると言えばなるのですが、単なるコットンの長袖Tシャツなので、今年の冬のような気温差の激しさには対応できないようなのです。  特に朝方は寒く、日中は春かと思うほど暖かい日などは、道を歩いているだけで汗が出てきます。これは私の年齢からくるいわゆる揺らぎのせいなのか、それとも着ているもののせいなのか、どちらなのかはわかりません。いずれにしろ、なんとかならないものかと考えました。

メリノウールのインナーに多くのメリットが


 そこで思い出したのが登山用のインナーとして用いられるメリノウールです。寒暖差の激しさに対応すること、吸湿性が高いため汗を吸い取ること、また防臭性に優れているため、汗をかいても汗臭くならないことなど、たくさんのメリットがあると言われています。  朝、出かけるときはあんなに寒くて震えていたのに、お昼過ぎたら汗だくで嫌になった外出を数回経験した後、改善策としてメリノウールの長袖Tシャツの購入を決意しました。


購入したメリノウールの長袖Tシャツ

岐阜のアパレルメーカーspanのメリノウール クルーネック カットソー ¥ 5,300(税込)

 探してみると、いつも着ているコットンのものとほぼ変わらないデザインノメリノウールの長袖Tシャツが売られています。その中からオフホワイトを選んで購入し、インナーとして着てみることにしました。

外出してどれほど違いがあるのか実験してみた

 家にいるときはいいとして、問題は外出する時です。どれほど違いがあるのか、自分の身体を使って実験です。ウールではあるけれど、メリノウールは繊維が細いので、ちくちくして肌がかゆくなるということはありません。また非常に軽く、しっとりして優しい着心地です。


インナーとして着ると温かいメリノウール

インナーとして着ると温かいメリノウール

 実験の場は朝9時スタートの真冬の探鳥会。家を出るときの気温が5度、お昼には12度ぐらいまで上がる予定です。その間、歩いたり、立ち止まったりを繰り返すので、通常ですと、汗をかいたり、寒くなったりします。探鳥会当日の朝は寒く感じたので、セーターを重ね着してダウンジャケットを羽織っての参加です。  

 暖かさは問題なし。いざスタート、ということで参加したのですが、途中で鳥を見ることに夢中になり、すっかり実験中であることを忘れてしまいました。しかし後で振り返ってみると、忘れたということは、それぐらい快適だったということです。  
 寒くもなく、かといって途中汗だくになることもなく、あら、なんだかこれはいいのではないの、登山の人たちが着るだけのことはあるのね、というのが感想でした。その後も外出時に着てみましたが、同じように快適に1日過ごせました。

「尾州ウール」を使った日本製のカットソー

 そんなわけで、素晴らしいメリノウールの長袖Tシャツですが、難点は価格でしょうか。いきなり毎日のインナーとして数枚買うにはちょっとハードルが高い価格です。


世界的に有名な「尾州ウール」を使ったメリノウール

メリノウールは世界的に有名な「尾州ウール」を使った日本製のカットソー

 というのもこのメリノウールの長袖Tシャツは世界的に有名な「尾州ウール」を使った日本製のカットソーなのです。作っているのはspanという日本に自社工場を持つファクトリーブランド。この会社のHPのコラムには、現在、日本で流通する洋服のうち日本製のものはたったの2%程度だと記されています。

日本に生産工場がなくなったら、同時に技術も失う

 これを読んで思い出したことがあります。  

 それは私がアパレルメーカーで働いていた2000年より前のこと。国内に自社工場を持つメーカーであるにもかかわらず、名だたる商社の営業マンが中国生産の営業をかけにブランドがあるフロアによく訪れていました。  

 たぶんこのころから日本国内から人件費が安い海外へ生産拠点が移り始めたのでしょう。アルマーニのスーツにブルガリの腕時計の30代の男性商社マンが、わかばのたい焼きを持って、18時を過ぎてから、中国の工場に依頼することを決めた私たちのブランドのところにやってきた光景を、今でもよく覚えています。  

 あのときの未来が今ここです。海外生産と日本生産の比率は逆転しました。

 日本に生産工場がなくなったら、同時に技術も失います。失うのは簡単ですが、取り返すのには何十倍もの時間と労力がかかります。

 決して安くはないメリノウール製品ですが、買う人がいなければ、その技術は消失します。よきものを残すためにも、そしてもちろん自分の日常の快適さのためにも、少しずつ買い足していきたいなと考えています。

◆筆者私物
span メリノウール クルーネック カットソー ¥5,300

<文/小林直子>

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